La Barbe Bleue
天上影は変わらねど
栄枯は移る 世の姿
映さんとてか 今も猶
嗚呼 荒城の夜半の月
何とも佳き詩にございます。
祖国を捨て早幾星霜、果て無き流浪の旅路も
すべてはこれなる歌を識るためにこそ。
さらば長きに渡るこの流離人の苦難も存分に報われましょう。
さてお集まりの奥さま方、旦那さま方、
そしてこっそりと紛れ込んでいらっしゃるお嬢さん。
旅の吟遊詩人をかくも妙なる調べに廻り合わせて下さった御礼に、
御伽話をひとつ差し上げましょう。
無学な詩人の未熟な語りではかかる名歌の対価にもなりませんでしょうが、
これからお話しいたしますのは子供騙しの童話にあらず、
この世のどんな宝石よりも貴くそして得難いもの。
時に埋もれた真実の裏の裏のその表、秘められた哀しき恋の成りゆきを、
今宵皆さまだけに特別に披露いたします。
荒れ果てた古き城、
その城に纏わる言い伝えもまた古き物語。
さあお聞きあれ、青髭と恐れられた領主殿と
哀れな美しき乙女の話を――